第4回 ルン・ジゥェ倶楽部レポート(2018年6月13日配信分)

前回のルン・ジゥェレポートから、ルン・ジゥェの健康状態を心配して逡巡しているうちに時間が経ってしまいましたが、2017年のルン・ジゥェは、高齢のため健康状態がすぐれず、タイの病院に入院したりヤンゴンの病院で治療したりと、非常に不安定な状態でした。2018年に入ってからは、全面的に快方に向かい、気力も取り戻され、 まだ水彩画中心ですが積極的に作品制作に従事できるまでに回復されました。

アジア最後のフロンティアと呼ばれるミャンマーは日々変化しています。ルン・ジゥェの住むヤンゴンは、ミャンマー最大の経済として、日々道路が整備され、シンガポール、台湾、中国、韓国等、アジア資本の大きな不動産開発プロジェクトが進んでいます。日本の開発プロジェクトも進んでいるようですが、他の国に先駆けているとは言えず、他のアジア諸国のスピード感にはついていけず、後塵を拝しています。

現在、ロヒンギャ問題で西側諸国から人権問題を非難され、欧米企業からの投資のスピードが鈍化している状況ではありますが、アジア諸国の企業は、ここぞとばかり投資を加速させています。

日本からは安倍首相の鶴の一声で、ヤンゴンを囲む大きな環状線鉄道とまだ未整備な道路が数千億円を支援することによって整備されることになります。ただ、中国を中心とするアジア諸国は、更に大きなインフラ投資を表明しており、将来のミャンマー経済の成長を見越したアジア諸国の 経済的主導権争いに発展しているような様相となってきています。

しかし、ミャンマー鉄道といえばミャンマー人の中でも悪評高く、時刻表があってないようなもので、時に線路の上を優雅に牛車が歩いています。このミャンマー鉄道が、日本の力を借りて、いつの日か日本の鉄道網のように整備される日が来るのでしょうか?

さて、今回2018年5月のルン・ジゥェ訪問では、今年88歳になる ルン・ジゥェが完全に健康を取り戻し、直接面会できる機会を得ることができることとなりました。昨年は、ヤンゴン市内のご自宅兼ギャラリースペースにお邪魔しても、一回もお会いすることができなかったのですが、今回はギャラリースペースで、奥様と一緒に自らお出迎えまでもしていただきました。

今回は、日本から数名のコレクターも一緒にルン・ジゥェ宅を訪問しました。ルン・ジゥェは、歩くのがまだ不自由で杖と支えが必要な状態ですが、座ったまま、笑顔で自身の作品の説明をしていただき、時に英語でジョークを交えながらコレクターの皆さんと記念撮影をしたりしておられました。

そして今回は、ルン・ジゥェ自らランチをお誘いいただき、一緒にミャンマー料理に舌鼓を打ち、コレクターの皆さん共々楽しい時間を過ごすことができました。これまで、高齢と体調不良でなかなか食事をご一緒する機会は持てなかっただけに、本当に貴重な機会となりました。

最後になりますが、5月末に開催されたクリスティーズ香港で、20世紀以降のミャンマーアーティストが取り上げられ、ルン・ジゥェもその代表的な一人として74×58cmの1994年の「Burumese Dancer」という作品が出品されましたが、日本円で約240万円で落札されたことをご報告させていただきます。